目次
はじめに
この記事では Unity の Timeline に関する概要や使い方を解説します。
主に Timeline を知らない方向けの入門的な内容となっております。
Timeline とは?
Unity の Timeline は、アニメーションや音楽の再生、オブジェクトの生成 / 削除などを、エディター上で視覚的に配置して編集できる機能です。

Timeline を使って複数のアニメーションやサウンドなどを組み合わせることで、カットシーンや演出の作成が可能になります。
コードを書かなくても視覚的に編集ができるため、エンジニア以外の方でも扱いやすい機能となっています。
Timeline の概要
タイムラインアセット / タイムラインインスタンス
Timeline の構成要素である、タイムラインアセットとタイムラインインスタンを解説します。
- Project ビュー内に作成する Timeline のデータファイル
- トラック、クリップ、レコードしたアニメーションを格納
- 拡張子は .playable
- タイムラインアセットをもとに実際に編集するオブジェクト
- Binding と呼ばれる特定のゲームオブジェクトへのリンクを格納
- データは .unity シーンに保存される
タイムラインアセットとタイムラインインスタンスの関係は、
プレハブとインスタンスの関係に近いかと思います。
5種類のトラック
Timeline には5種類のトラックがあり、それらを組み合わせることで演出を作成します。
トラック名 | 内容 |
---|---|
Activation Track | オブジェクトの表示 / 非表示を制御 |
Animation Track | オブジェクトのアニメーションを制御 |
Audio Track | オーディオを制御 |
Control Track | オブジェクトの生成 / 削除を制御 |
Playable Track | スクリプトの制御 |
Timeline を使ってみよう
ここからは実際に Unity 上で Timeline の機能を使ってみます。
環境は Unity 2019.4.01f を使用しています。
タイムラインアセットの作成
まずはじめに、タイムラインアセットを作成します。
Project ビューの [+ ボタン] -> [Timeline] を選択します。

「New Timeline」という名前でタイムラインアセットが作成されました。

タイムラインインスタンスの作成
次にタイムラインインスタンスを作成します。
先程作成した「New Timeline」を Hierarchy 上にドラッグ&ドロップして下さい。

Hierarchy 上に生成したオブジェクトが、タイムラインインスタンスになります。タイムラインアセットと名前が同じなので「New Timeline Instance」という名前に変えておきましょう。
Inspector を見ると、「Playable Director」というコンポーネントが付いています。 この「Playable」の項目に先程作成したタイムラインアセットの「New Timeline」がセットされているのが分かります。

Timeline エディターを開く
以下のどちらかの方法で Timeline エディターを開きます。
- Project ビューに作成した「New Timeline」をダブルクリック
- [メニュー] -> [Window] -> [Sequencing] -> [Timeline] を選択後、Hierarchy 上の「New Timeline Instance」を選択
Timeline エディターを開くと以下のような画面が表示されます。
まだ何も編集していないため中身は空の状態です。

Timeline エディターのビューを固定するため、右上の [鍵アイコン] を押してロック状態にします。

エディターの時間軸がフレーム数単位での表示となっています。秒数単位の表示に変更するため、エディターの [歯車アイコン] -> [Seconds] を押します。

時間軸が秒数単位に変更しました。

Activation Track の設定
ここからはトラックを追加して演出を作成していきます。
オブジェクトの表示 / 非表示を制御できる「Activation Track」を追加します。
Timeline エディターの [+ボタン] -> [Activation Track] を選択します。

Timeline エディター上に Activation Track が追加されました。
対象の GameObject はまだ設定してないため空っぽの状態です。

トラックに GameObject を設定するため、Hierarchy 上で [+ボタン] -> [3D Object] -> [Cube] を押して Cube オブジェクトを生成します。
生成した Cube を Activation Track へドラッグ&ドロップし、トラックに Cube をセットします。

実際に Activation Track を編集してみます。
トラックの「Active」と書かれたクリップを、クリックしたまま左右に移動することで、 オブジェクトの表示 / 非表示の時間を設定できます。
下の映像では、クリップの開始位置を2秒に合わせています。
Unity を実行して確認してみると、2秒経ってから Cube が表示しているのが分かります。

Animation Track の設定
ここからは、オブジェクトのアニメーションを制御できる「Animation Track」を追加します。
Timeline エディターの [+ボタン] -> [Animation Track] を選択します。
エディター上に Animation Track が追加されました。

トラック用のオブジェクトを作成します。
Hierarchy ビューから [+ボタン] -> [3D Object] -> [Sphere] を生成します。
生成した Sphere オブジェクトをトラックにドラッグ&ドロップして設定します。その際に出るポップアップでは「Create Animator On Sphere」を選択してください。
これにより、Sphere オブジェクトに Animator コンポーネントが自動で追加されます。

設定が終わったので、実際に Animation Track を編集してみます。
トラックの赤丸ボタンをクリックすると、ボタンが点滅し右側に「Recording…」と表示されます。これはアニメーションの編集を記録できる状態を表します。再度赤丸ボタンを押すとレコーディング状態が解除されます。

レコーディング状態で、時間軸上にある白いスライダーをクリックでつまみ、1秒のラインまで移動させます。

Sphere オブジェクトの Inspector にて、Transform のPosition Y を「2」に変更します。変更すると数値の箇所が赤色に変わります。

トラックを確認すると、キーフレームを表すひし形の記号が追加されています。
これは、1秒経った時点で Sphere オブジェクトが Position.Y の「2」の位置にいることを記録しています。

追加で以下2つを設定してキーフレームを合計3つにします。
- キーフレーム0秒:Position「X: 0, Y: 0, Z: 0」
- キーフレーム2秒:Position「X: 2, Y: 2, Z: 0」
キーフレームの設定が終わったら、再度赤丸ボタンをクリックしてレコーディング状態を解除します。以下の画像のような状態になってるかと思います。

Unity を実行すると、Sphere オブジェクトが設定した通りに移動するアニメーションが流れるようになりました。

Audio Track の設定
ここからは、オーディオを制御できる「Audio Track」を追加します。
トラック追加の前にリソースとなる SE や BGM が必要なため、音源ファイルを1つ用意して下さい。(無料の効果音サイトから音源ファイルをDLする、あるいは自分が持っている音源ファイルを使うなど)
無料の効果音サイトをいくつか紹介しておきます。
用意した音源ファイルを Project ビューにドラッグ&ドロップで追加します。

追加した音源ファイルを直接 Timeline エディター上にドラッグ&ドロップします。

音源ファイルが格納された Audio Track が追加されました。
音源の再生開始タイミングは、時間軸上のクリップをスライドすることで変更可能です。
Unity を実行すると、クリップで設定した秒数で音源が再生されるようになりました。

Control Track の設定
ここからは、オブジェクトの生成 / 削除を制御できる「Control Track」を追加します。
Control Track の対象となるオブジェクトを用意するため、Hierarchy ビューで [+ボタン] -> [3D Object] -> [Capsule] を押して Capsule オブジェクトを生成します。
続けて、そのオブジェクトをプレハブ化するため Project へドラッグ&ドロップします。

Capsule オブジェクトがプレハブ化されました。
Hierarchy ビュー上にある Capsule オブジェクトは削除しておきます。

Timeline ビューの [+ボタン] -> [Control Track] からトラックを追加します。
Capsule プレハブを、追加した Control Track 上にドラッグ&ドロップすると、Capsule プレハブを格納した Control Track となりました。

Unity を実行すると、設定した秒数で Capsule オブジェクトが生成 / 削除するようになりました。
生成 / 削除タイミングは、時間軸上のクリップ位置をスライドすることで変更可能です。
おわりに
実際に Unity 上で Timeline を触りながら使い方を説明しました。
今回紹介した内容は Timeline のほんの一部で、他にも色々な機能や使い方があります。
以下の動画のカットシーン(6:31~)は Timeline を使って作られています。
Timeline の機能を最大限活用することで、より複雑な演出が作成可能となります。
参考資料
- タイムラインの概要 | unity DOCUMENTATION
- Timeline で手軽に演出を構築しよう | unity 公式
- タイムラインの基礎を理解する【Unity】 | STYLY
Unityの教科書 Unity 2021完全対応版 2D&3Dスマートフォンゲーム入門講座
いちばん売れているUnity入門書が最新バージョンに対応 最新環境でゲーム制作を楽しく体験しましょう! ■本書の特徴 ●初めてゲーム制作にチャレンジする人に最適! 最初は簡単な2Dゲームの制作からスタートし、徐々に難しいゲームへと進めていきます。サンプルゲームの制作を通じて、Unityの機能と、ゲームを作るための知識が自然と身に付きます。 ●プログラムの書き方がわからなくても大丈夫! C#の基礎知識も掲載しているので、プログラミング経験のまったくない人でも、安心して学習を開始することができます。 ●ゲームを面白くするためのヒントを掲載! Unityの使い方だけでなく、ゲームの設計方法、レベルデザインなど、ゲームを面白く作るための知識も紹介しています。
作って学べる Unity 本格入門 [Unity 2021対応版] 作って学べる開発入門
本書はUnityでゲーム開発を行いたい人を対象に、1つのゲームを制作する流れを通してUnity 2021の操作が学べる入門解説本です。本書内で武器などを調達し、食べ物を求めながら冒険し、武器でモンスターと戦う3Dアクションゲームを制作していきます。本格的なゲームを実際に制作しながらUnityの使い方を学べますので、楽しみながら学びことができ、かつ実践的なテクニックも身につけることができます。
新・標準プログラマーズライブラリ なるほどなっとく C#入門
本書は、プログラミングの知識・経験がなくてもC#の基本文法を身につけることができる入門書です。 そのために、「初心者に理解して身につけてほしい機能を厳選し、ポイントを絞る」 「C#になぜその機能があるのか、どんな場面で使うのかという点も納得できる」という方針で解説しています。 C#の文法は膨大ですが、これから学ぼうとする方は、すべてを覚える必要はありません。 本書を通して、「なぜ」という疑問をひとつひとつ解消しながら、 利用頻度の高い文法をしっかりと自分のものにすることができます。